現役のマーケターがフレームワークについて解説します。

今回はBANTについて解説いたします。

考える男性

BANT情報ってなに?

マーケターでも知っておくべき情報なの?

テリー

こんな方の疑問に丁寧にお答えしていきます。

BANTとは?

BANT情報

BANT情報とは法人営業において必須となる商談の情報です。

次の4項目の頭文字を取っています。

Budget(予算)

製品やサービスを導入するための予算。

Authority(決裁権・承認プロセス)

法人における決済権を持っている人物あるいは承認プロセス。

Needs(ニーズ)

顧客のニーズ、困りごと。

Time frame(導入時期)

製品・サービスの購入時期、導入時期。

法人営業では、様々な情報を顧客からのヒアリングで入手します。

BANTは、もともとはSFA(営業支援ツール)やCRM(顧客情報管理)の活用が進んでいるアメリカで生まれたセールスの概念です。日本でもかつては営業マンが独自にヒアリングをしていましたが、営業活動の体系化を図るために採用する企業が増えています。

なぜBANT情報が必要なのか?

BANT情報は効率的かつ効果的に営業を進めるために最低限必要な情報です。

これらがないと顧客に対して適切な提案ができません。

予算が見当違いものであればtoo muchな提案、あるいは全くその逆の提案をしかねません。

導入時期が分からないままだと、顧客側は半年先を検討しているのに無駄に焦らせてしまったり、あるいはすぐに欲しいのに提案が後回しになってライバル企業に奪われてしまうなどの事態が発生しかねません。

もちろん企業によってBANT情報以外も必須なケースもあるでしょう。例えば大型の機械であれば設置場所、SaaSなどのソフトウェアであれば利用人数など。

それでもBANT情報はすべての企業に共通する必要最低限の情報となります。

効率的にBANT情報を取得するには?

BANT情報はいずれも商談を進めるうえでは必要不可欠な情報です。

とはいえ、相手と関係性ができる前にいきなり「予算はいくらですか?」「意思決定権者はどなたですか?」などと聞いても情報を得ることはできません。ここでは効率的にBANT情報を取得する方法を紹介します。

Budget(予算)

製品やサービスを導入するための予算です。商談に入った後、比較的早い時期に確認する必要があります。顧客の予算に応じて提案内容が変わることがあるため、把握が遅れ適切な提案が難しくなってしまいます。

ただし、新規顧客など関係性が構築できていない場合、顧客側が正直に答えてくれず、なかなか本音を聞き出せないこともあります。

その場合は、類似の事例などを提示して「例えばA社は○○万円ほどの予算をかけて導入しましたが、それと同程度と考えて差し支えないでしょうか?」といった形で慎重に探りを入れるなどの工夫が必要です。

Authority(決裁権)

営業のアプローチは決裁権を持った相手、稟議承認を行う人物に対してアプローチを行うのが基本です。窓口担当者ではなく、決定権を持っている相手に直接交渉ができれば迅速な受注につながります。

ただし、会社によっては商談金額によって決裁権者が変わることもあるため、商談ごとに決裁権の確認が必要になってきます。BANT条件では、決裁権者の確認も重要な要素です。決裁権を持つ人を見極めてアプローチすることで、クロージングの確度を高めるのです。

また決裁権者と同等に重要なのがキーパーソンです。例えば部長が決裁権を持っていても、その部長に助言を行ったり、部署メンバーのリードする人物がキーパーソンです。

いずれも「今後の業者選定はどのようなプロセスを経て進んでいくのでしょう?」とそれとなく聞くとベターです。

Needs(ニーズ)

顧客のニーズの有無をしっかり確認することも重要です。組織全体のニーズなのか、担当部署だけのニーズで全社の承諾を得ていないのか。あるいは担当者個人のニーズにとどまっているのか。ニーズの範囲によっても商談の優先度は変わります。

真のニーズを掴むには、単に「欲しい」という表面的な希望だけでなく、「なぜ欲しいのか」を探る必要があります。ニーズを深堀りしていけば、根本にある課題にたどり着くでしょう。その課題の解決方法こそが真のニーズといえるでしょう。

顧客ニーズを探るには仮説を立てておくことが重要です。

相手企業のホームページや四季報を見るなどして、「○○したいから、困っているんだろうな」といった仮説を立てておきます。そして商談の際にその仮説をぶつけます。そうすることで「まさにその通りで、、、」「それよりもむしろ△△の方が問題で、、、」といった形で真の課題を明かしてくれやすくなります。

Time frame(導入時期)

BANT条件では、導入時期もヒアリングをします。受注が決まっていなくても、具体的な導入時期が決まっているのか否かを確認しましょう。決まっている場合は優先度が高い、そうでない場合は低いといった判断ができます。

導入時期がわかっていれば、こちらも予定が立てやすいです。早い導入を希望しているなら、競合に先を越されないようにアプローチをかけることができます。

ただ、法人の場合、多くは決算期に左右されるため、予算消化優先で納品は後回しのスケジュールということも考えられます。導入時期が先であっても、案件管理のために把握しておきましょう。

導入時期については他の情報と比べそれほどセンシティブではないので堂々と聞いても割と教えてくれやすいです。

マーケターはどのように活用するの?

考える女性

「営業が聞き出す項目なのでマーケターは意識しなくてもいいのでは?」

と思われる方もいるかも知れません。

テリー

しかし、BtoBマーケティングにおいてはBANT情報を認識しておくことは顧客理解、分析のためにとても重要です。

マーケターもBANT情報を意識する必要がある3つの理由

①商談の受注確度を把握する

②商談の優先度を決める

③有望な商談の獲得ルートを特定する

①商談の受注角度を把握する

BANT情報がすべて埋められている場合、商談の確度を把握しやすくなります。

BANT情報がはっきりしない場合、その商談の受注確度は低くなります。

数回の商談を経てまだ明らかになっていない場合は「導入するかどうかが不明確」「別の業者に決めている」のどちらかが多いです。いずれにしても自社が商談を受注できる望みは薄いでしょう。

逆にBANT情報がすべて埋まっていればある程度の確度高いものと判断することができます。

②商談の優先順位を決める

BANT情報がすべてわかっている場合は商談の優先順位は高くなります。

特に導入時期が近いものはすぐに提案を進めることが必要です。逆に導入時期が1年先、2年先といった場合は定期的にコンタクトを取りながら本格的な提案は来たるべきが来たときにといった判断ができます。

③有望な商談の獲得ルートを特定する

見込み顧客獲得のルートは様々あります。Webサイト、リスティング広告、メディアサイトの記事広告、展示会etc…

有望な商談はこれらのいずれかから発生しているのかを把握することで、予算の掛けどころがわkるようになります。

おわりに

SFA/CRMの普及に伴いBANTの概念を取り入れる企業は増えてきました。

BANTの概念を取り入れることにより感覚的に判断してきた商談の受注確度などを体系的に管理できるようになり、属人的な営業活動が可能となるためです。

BANTは現代の営業活動には欠かせないフレームワークなので、マーケターとしても意識して把握することに努めましょう。