インターネットやデータを活用した売上拡大に携わる仕事が「デジタルマーケティング」です。

スマートフォン、SNSの人気の拡大、AIの普及、新型コロナウィルス感染拡大に伴う行動制限によってデジタルマーケティングの重要性は年々増しています。

この記事では、デジタルマーケターの仕事内容や年収、将来性など、デジタルマーケターについての気になる情報をまとめて紹介していきます。

デジタルマーケティングとは?

インターネットやITなどデジタルを駆使して行うマーケティング活動のことです。

Webサイト・Eメール・SNS・動画・アプリケーションなどの媒体を駆使してマーケティング活動を行います。

従来のマーケティングとの大きな違いはデータ活用が挙げられます。

インターネットの普及に伴い、一人ひとりの行動を詳細に収集して分析することが可能になりました。集められたデータを分析して、ユーザーのニーズや状況に合わせて適切にアプローチできることがデジタルマーケティングの強みであり、多くの企業が導入、活用を進めている理由です。

デジタルマーケティングの主な手法

デジタルマーケティングには数多くの手法があります。代表的なものを紹介していきます。

Eメール

顧客に直接メールマガジンなどを送り、購買・消費に繋げます。 メールが送られてくることを顧客が承諾しているため、高い効果が期待できます。デジタルマーケティングの手法のなかでも最も古くから使われている手法です。

Webサイト

自社のWebサイトで商品をアピールします。Amazonや楽天市場に頼らず、独自でEC機能を持つ企業もあります。自社Webサイト内で購買に繋げるだけでなく、検索エンジンで上位表示させるSEO対策も新たな顧客を獲得するために必須となります。

インターネット広告

検索エンジンの検索結果ページで商品やサービスを宣伝する手法です。検索されたキーワードと関連性のある広告を表示する「リスティング広告」、Webサイトやアプリの広告枠に画像や動画などを表示する「ディスプレイ広告」、Youtubeなど動画配信サービスの広告枠に動画広告を掲載するものがあります。

SNS

Twitter、Instagram、Facebook、TikTokで情報を発信し、 顧客とコミニケーションの機会を生み出す方法です。SNSによってメインユーザーのセグメントが異なるため自社サービスのメインターゲットとなるものを選び、適切に情報を発信していく必要があります。

アプリ

スマホアプリはWebサイトでは実現できないユーザー体験を提供できるため、ファンを獲得するために重要な施策となります。アプリダウンロード数が伸びれば伸びるほどユーザーの注目度は高くなります。

CRM

Customer Relationship Managementの略で、顧客情報や行動履歴、購入履歴などを一括管理するものです。

営業とマーケティングなど社内の異なる部門で情報共有したり、商談の進捗管理をするのに欠かせません。

代表的な製品にSalesforceがあります。

MA(マーケティングオートメーション)

デジタルマーケティングにはいくつもの手法があり、これらを個別に行うと管理が煩雑で期待した効果が得にくいもの。

これらを統合的に管理するためのツールにMA(マーケティングオートメーション)があります。

特定のWebページを見たユーザーに特別なオファーメールを自動で送るといったことが可能になります。

代表的な製品にMarket、Pardot、Hubspotなどがあります。

IoT

「モノのインターネット」と呼ばれるものです。

産業装置や家電などをインターネットにつなぎ、購買行動に促すことができるようになりました。

例えば、自動車のあるパーツに異常が検知された際にカーナビやスマホにその通知を送ったりするものです。

Webマーケティングとの違い

デジタルマーケティングと似た言葉で「Webマーケティング」があります。

Webマーケティングは主にインターネットに限定したマーケティング活動を指します。

Webマーケティングの手法
  • Webサイト、SEO対策
  • Eメール
  • インターネット広告
  • SNS

一方、デジタルマーケティングはこれらの手法に加えて、アプリやIoTで収集したデータを分析して、より効果的なマーケティング活動を提言することが求められます。

つまりデジタルマーケティングはWebマーケティングより広い概念だと捉えてもらえば良いでしょう。

デジタルマーケティングの主な仕事内容

デジタルデータの分析、施策立案・実行、レポーティング

デジタルデータの分析と分析結果からマーケティング施策を立案、実行して商品やサービスの販売促進を行うことがデジタルマーケティングの主な仕事です。

Webページの閲覧数や広告のクリック数、Eメール開封率などを分析していきます。

分析するデータの一例
  • Webページ閲覧数
  • インターネット広告のクリック数
  • コンバージョン数(フォーム送信、購入数)
  • SNSインプレッション、拡散率
  • Eメール開封率
  • 顧客単価、ARPU
    etc…

場合によっては顧客セグメントや販売データを分析して、購入単価が大きいユーザーを明らかにして、そうしたユーザーに響く施策を行います。

施策を実行して終わりではなく、結果を経営層にレポーティングするのもデジタルマーケターの役割です。

行った施策がいまひとつだった場合はその要因を明らかにして次の施策に繋げるPDCAはデジタルマーケティングにおいて重要な概念です。

コンバージョンに繋げることが一番大事

マーケティングの目的は売上を上げること。

ECサイトでは購入、BtoBサイトでは問合せや資料ダウンロードといった売上に直結する指標をコンバージョン(CV)と呼びますが、ここを上げることが大きな目標になります。

いくらWebページの閲覧数が伸びても、SNSで拡散されたとしても売上に繋がらなければ意味がありません。

デジタルマーケターはコンバージョンに繋げるということ意識は常に持っていないといけません。

施策実行するにはプレゼン力も大事

データを分析してマーケティング施策を立案しても、それを実行しなければ何も意味がありません。

デジタルマーケターには施策内容やROI(投資対効果)を上司や経営層に対して説明するプレゼン力も求められます。

デジタルマーケティングに必要なスキル

幅広いマーケティング知識

デジタルマーケターには幅広いマーケティング知識が求められます。

デジタルマーケティングには多くの手法がありますが、自社の商品・サービスの特性やポジションや世の中の動きなどを踏まえて最適なものを取捨選択する必要があります。

一つだけ精通していてもダメで、幅広く理解している必要があります。どの手法を用いればどういった結果が得られるのか、知識と運用スキルが求められます。

情報収集力

デジタルマーケティング業界は話題の移り変わりが激しいため、インターネット・ITのみならず世間の流行っているものなどをキャッチアップしていく必要があります。

ITツール活用スキル

デジタルマーケティングは頻繁に新しいツールが登場します。CRMやMAを導入している企業は多いですが、AIやBIの活用を進める企業も増えています。こうしたツールをいち早く使いこなせるよう日々の学習が欠かせません。

ロジカルシンキング(論理的思考)

得られた結果やデータに基づき施策を立てるにはロジカルシンキングが欠かせません。ロジカルシンキングとは、物事を体系的に整理して筋道を立て、矛盾なく考える思考法のことです。

思いつきや閃きだけで考えた施策で成功を収めるのは至難の業です。

コミュニケーション力

デジタルマーケティングで自分一人だけで完結する仕事ではありません。

上長や経営陣から施策実行の承認をもらったり、協力会社にWebページや広告素材を制作をしてもらったり、広告代理店に広告出稿を依頼したりなど数々の関係者とともに仕事をしていくことになります。

そのためのコミュニケーション力もデジタルマーケターには欠かせないスキルの一つです。

プレゼンテーションスキル

マーケティング施策を実行に移すには上長や経営陣、クライアントから承認を得る必要があります。

そこで提案する施策のROIなどを説明が求められます。いかに提案する施策が効果をもたらすか説明するスキル=プレゼンテーションスキルも必要となります。

おすすめの資格は?

デジタルマーケターになるために必要な資格をピックアップしていきます。

なおデジタルマーケターになるに必須の資格はなく、こういうことができますよーという証明なので、全て無理して取る必要はありません。

①Salesforce アドミニストレーター

CRMの代表格であるSalesforceは、中規模以上の企業ならだいたい導入済み。これを使えることで活躍の場を大きく広げられます。

私の知人でデジタルマーケティング未経験でSalesforceアドミニストレーターの資格を取得、34歳で年収が1000万を超える人がいました。

それだけSalesforceの運用を担える人は市場価値が高いということ。

②Tableau Desktop Specialist

BIツールのTableauを使えるようになっていると、評価される会社は多いです。

BIツールはBusiness Intelligenceの略で数値データを一瞬にビジュアル化させられます。

データを扱うことの大きいデジタルマーケターでBIの代表格であるTableauが扱えると、その評価は高くなります。

私もTableau操作スキルに長けていたことで過去2回の転職ではいずれも大幅な年収アップが提示されました。

MAツール認定資格

メールを送る、キャンペーンの管理が容易になるMAツールの認定資格を持っていることも評価されやすいです。

MAツールはいくつかの代表製品があり、そのいずれも独自の認定資格を持っています。

Pardotスペシャリスト・コンサルタントの資格があればこちらも転職市場や昇給考査に活かされます。

あまり意味がない資格

一方でWebマーケティングの資格について調べると色々出てきますが、ほとんどが転職・就職には役に立ちません。

ウェブ解析士・Webアナリスト検定・マーケティングビジネス実務検定といったものが挙げられますが、ぶっちゃけ転職市場においてはほとんど評価されません。

これらはデジタルマーケティング日々の業務を行っていれば身につく知識ばかりで、これがあったから何かできるという主ではありません。

僕はIT企業デジタルマーケティング部門でマネージャーをしていて、転職希望者の面接をすることもありますが、「ウェブ解析士・Webアナリスト検定・マーケティングビジネス実務検定」これらを職務経歴書に書いていたら大抵落とします(笑)

これらの資格は普通にデジタルマーケティングの経験をしていれば誰でも合格できるし、かと言って実務で役立つかと言うとそれほどでもないからです。

それよりはSalesforce、Tableauといったツール認定の資格を取った方がよほど評価されます。

デジタルマーケターの年収・将来性は?

デジタルマーケティングの仕事はあらゆる業界・企業からの需要があり、年収水準は比較的に高めです。

インターネットの普及、IT技術の進歩に伴い需要は年々上がる傾向にあるので、将来性にも明るいです。

年収については、支援会社(広告代理店、コンサルタント、Web制作会社)と事業会社(メーカー、サービス提供)で分けて考える必要があります。

支援会社(広告代理店、コンサルタント、Web制作会社)

ズバリ高年収を狙うなら大手広告代理店、外資系コンサルタントです。

激務になりがちですが、30代でデジタルマーケティング歴5年以上であれば600万円以上は堅く、800〜1000万円も狙えます

中堅以下の広告代理店、日系コンサルタントだと若干落ちて500〜700万円の印象です。

一方でWeb制作会社だと年収水準は下がり、30代でも400〜600万円といった具合でしょうか。

事業会社(メーカー、サービス提供)

事業会社で高年収なのは、金融・製薬・ITです。

金融(銀行、保険など)は顧客獲得チャネルが年々デジタルに寄ってきていることもあり、年収が高くなる傾向にあります。30代であれば800万円以上が相場になってきます。金融業界の経験は求められないことも多いのでかなりオススメです。

製薬系もデジタルマーケティングの需要は高く、年収も高いのですが専門性が求められるので、デジタルマーケティングの経験だけでキャリアチェンジするのはハードルが高いです。

IT業界は日系・外資ともに大手なら高待遇が期待できます。30代なら800万円以上が狙えます。

ただ立ち上げ間もないスタートアップやベンチャーだと600万円程度に収まってしまう印象です。

会社が急成長して、管理職ポジションに就ければ800万以上もありえますが、ちょっと再現性が低いです。

デジタルマーケターに向いている人

デジタルマーケターに向いている人の特徴は次の通りです。

デジタルマーケティングに向いている人の特徴
  • 好奇心が高い
  • 行動力がある
  • コミュニケーション力が高い
  • ロジカルシンキングができる

好奇心が高い

デジタルマーケティング界隈では新しい技術やツールがどんどん登場し、コンテンツの栄枯盛衰も激しい業界です。

新しいツールやコンテンツが登場したらそれらをいち早く活用する積極性が必要となります。

行動力がある

アイデアを閃いてもそれを実行に移せなければ何の意味もありませんし、動きの早いライバル企業に顧客を奪われてしまう可能性があります。

実行に移すための障害をいち早く洗い出して、それらを取り除いて実行に移す行動力がデジタルマーケターには求められます。

コミュニケーション力が高い

デジタルマーケティングは、社内のチームメンバーや協力会社と連携して作業を行ったり、社内関係者から承認をもらうなど沢山のコミュニケーションを行うことになります。

円滑な人間関係を築き、施策を前に進めることができる人がデジタルマーケティングに向いていると言えます。

ロジカルシンキングができる

デジタルマーケティング施策を考える、関係者から承認をもらうにはロジカルに考えられることが必要不可欠です。

ロジックが破綻していると肝心な施策を前に進めることができません。施策の結果をレポーティングする際にもロジカルシンキングが必要となります。

デジタルマーケターになるには?

何らかのマーケティング経験者であれば社内の異動や転職でデジタルマーケターへの転身は可能でしょう。

未経験からデジタルマーケターとなるには、支援会社で営業として経験を積むのが再現性が高いと思います。

私も30歳のときに未経験でWeb制作会社に入社して、営業として数年経験を積んだ後にIT企業デジタルマーケティング部門に転職をしています。

デジタルマーケティングの需要は厚く、これからの転職にオススメ

某IT企業のデジタルマーケターの立場からデジタルマーケティングの職務内容・給与・将来性を紹介いたしました。

デジタルマーケターは企業からの需要はまだまだ高く、スキルと経験を積み上げれば30代のうちに年収1000万を突破することも可能です。

デジタルマーケティングに関する転職の相談があればTwitterなどからご連絡ください。