コロナウイルス感染拡大の状況の中で、仕事や経済面、生活などで様々な悩みを抱えている方は多いでしょう。
そんな今だからこそ読んでいただきたい本の一つにデール・カーネギー著書の『道は開ける』があります。
この記事ではデール・カーネギーの著書『道は開ける』を図説を交えながら、分かりやすく解説しています。
『道は開ける』について
デール・カーネギーの著書でとりわけ有名なのは、『人を動かす』と『道は開ける』の2つがあります。
『人を動かす』が対人関係や他人とのコミュニケーションについてのノウハウ本なのに対して、『道は開ける』は個人の悩み・苦悩の解決方法を指南したものです。
- 仕事で失敗をしてしまった
- 就職、転職がなかなか決まらない
- 同僚に先を越されてしまった
といった主に仕事に関する悩みとそれらの解決方法を詳しく説いています。
主には仕事において活かせるノウハウが詰まっていますが、対人関係や普段の生活での悩みについても活かせるノウハウが多いと思います。
今は新型コロナウイルス感染拡大によっていろんな悩みを抱えている方が多いので、この本で少しでも前向きになる力を得ることができたらと思います。
『道は開ける』の構成
『道は開ける』は大きくは以下の8つのパートから構成されています。
- 悩みに関する基本事項
- 悩みを分析する基礎技術
- 悩みの習慣を早期に断とう
- 平和と幸福をもたらす精神状態を養う方法
- 悩みを完全に克服する方法
- 批判を気にしない方法
- 疲労と悩みを予防し心身を充実させる方法
- 私は以下にして悩みを克服したか
PART8は様々な方の体験談となっているので、この記事では1〜7についての重要ポイントを私個人の解釈を交えながら解説していきます。
「全然違うだろ!」
「そんなこと書かれてないだろ!」
というご意見があれば、一番下でコメントいただけますと助かります。
『道は開ける』解説
PART1.悩みに関する基本事項
PART1では悩みに関する基本事項としてもっとも重要な2つのこと、それから悩みが与える影響について書かれています。
重要なこと2つというのは、
- 一日一日を精一杯過ごす
- 最悪の事態を受け入れる
ということです。
今日、一日の区切りで生きよ
「明日、死んでしまうとしたら、今日は何をしますか?」
究極の問いです。
「今日、一日の区切りで生きよ」と筆者は説いていますが、つまりは一日一日を精一杯生きろということです。
5年後、10年後も遠い将来ではなく、今日1日の積み重ねです。
1日を精一杯過ごすことで、将来大きな差となって表れます。
イチロー選手もこのように言っています。
小さなことを積み重ねることが、とんでもないところへ行くただ一つの道
「明日をどうするのか」「1週間後どうするのか」ではなく、その日一日を精一杯過ごすことが重要なのです。
10年ほど前のことです。
僕がバックパッカーをしていたときに出会ったイスラエル人ヤキールに、「明日、死んでしまうとしたら何をする?」と尋ねました。
すると、彼はこう答えてくれました。
「ありとあらゆる女とF○CKしまくるぜ!」
次に行きましょう。
最悪の事態を受け入れろ
筆者は「悩みを解決するための魔術的公式として次のことをを紹介しています。
- 最悪の事態を想定する
- それが避けられない場合は受け入れる覚悟をする
- 落ち着いて状況を俯瞰的に見たら、それを軽減すべく手を尽くす
仕事でミスをしてしまい、何千万円の損失が出てしまいそうだとしましょう。
最悪の事態は何でしょうか?
減俸?解雇?損害賠償?
最悪の事態を想定してそれを受け入れる覚悟をしましょう。
その覚悟ができれば、心の動揺は意外と少なくなります。
そして落ち着いて状況を俯瞰することができたら、それを軽減すべく手を尽くします。
錯乱している状態では良い手立ては思いつきません。
しかし、冷静になっていれば、妥当な手が見つかるはずです。
彼女、奥さんに浮気がバレてしまったら・・・
最悪の事態は「刺される」ということであれば、帰宅する前に薬局で止血チューブと包帯を購入しておきます。
一命は取り留めることができるでしょう。
状況を俯瞰できておらず、ご機嫌取りで彼女が好きなワインを買って帰宅すれば、逆にそれが凶器となる恐れがあります。
悩みの副作用
悩みによる悪影響について語られています。
これは実感している方も多いと思うので、ざっくり言ってしまうと、
「悩むことでストレスが貯まり、いろんな病気に掛かり、早死する」
ということです。
なので、悩みは早期に片付けて前を向けることが良しなんですね。
PART2 悩みを分析する基礎技術
PART2では悩みを軽減する方法として、悩みを分析することを説いています。
悩みを分析するステップは次の4つ。
- 問題点は何か?
- 問題の原因はなにか?
- 解決方法はどんなものがあるのか?
- 望ましい解決策はどれか?
このステップを踏む際には自身の反対意見側に回って、常に反論を加える準備をしていくことも推奨しています。
そうすることでより妥当な解決方法が導けると思います。
このステップについて一つ一つ解説していきます。
1.問題点は何か?
自身を悩ませているものを特定します。
仕事においてであれば、
- 受注率が低いことなのか?
- 企画案を上司が承認しないことなのか?
- 自社が望むような人物が採用応募してこないことなのか?
こうした形でまずは悩ませている問題点を明らかにします。
2.問題の原因はなにか?
自身を悩ませている問題が特定できたら、次に問題の原因を特定します。
問題が「受注率が低いこと」であれば、
- 顧客のニーズを満たせていない
- 製品価格が高いこと
- 顧客が製品の魅力を理解していないこと
といった原因が明らかになるでしょう。
上記に挙げたレベルではなく、もっと掘り下げると良いと思います。
受注が取れない一番の原因が「顧客のニーズを満たせていない」とすると、スペックなのか、納期なのか、アフターサービスのレベルなのか、といった具体です。
Whyがなくなるまで繰り返し行います。
3.解決方法はどんなものがあるのか?
問題の原因が特定できたら、それを解決する方法を洗い出します。
「スペックが合わずに、顧客のニーズを満たせず、受注ができない」
ということなら、スペックを向上させる方法を洗い出します。
スペック向上させるには研究・開発のレベルアップ、製造工程の見直しなどコストも時間も必要となります。
「研究・開発のレベルアップには〇〇億円掛かり、製品反映まで○年かかるが、それは割に合うのか?」
といった具体で、方法を洗い出す際にはデメリット(反対意見)も合せて出すことがポイントです。
4.望ましい解決策はどれか?
1〜3が明らかになったら、望ましい解決策を考えます。
スペック向上のために研究・開発のレベルアップをするにしても、顧客に提供できるまでには時間・コストが掛かります。
一方でアフターサービスを充実させるといった方法を取ることも可能です。
最適な方法を導けたら、あとはそれを実行させるだけです。
PART3 悩みの習慣を早期に断とう
このパートでは悩みを早い段階で断つための方法が紹介されています。
- 忙しい状態でいること
- あまりに小さなことは気にしない
- 避けられない運命には調子をあわせる
- 悩みに歯止めをかける
- 過ぎたことを悔やまない
①忙しい状態でいること
これは実践されている方も多いと思います。
悩んでる暇がないほど忙しくする
ということです。
悩むという行為は考える時間があるからできてしまうことです。
その時間がないくらいに仕事やプライベートの予定を詰め込み、悩みを「そう言えばそんなこともあったな」程度にしてしまうのです。
②小さいことは気にしない=「カブト虫に打ち倒されるな」
悩むほどもない、ささいなことは気にしないということです。
「奥さんが料理を失敗した」「昇格が見送られた」「うっかり食べ物を腐らせてしまった」
これらはいずれも小さな、ささいなことです。
こうしたことでいつまでも頭を悩ませるほど人生は長くはありません。
筆者はそれを「カブトムシに打ちのめされるな」という独特の表現を使って紹介しています。
③避けられない運命には調子をあわせる
冒頭でも語られた悩みの基本的なことでとっても重要なことです。
どうしようもないくらいに避けられない運命は、覚悟して受け止めるしかありません。
仕事でミスをして上司に叱られる
こんなことは避けることができません。
ならばそれを覚悟して臨んだほうが精神状態を正常に保つことができます。
④悩みに歯止めをつける ストップロスオーダー
悩みにリミットを設けようということです。
投資においては含み損が一定額を超えたらそこでポジションを整理するストップロスオーダー(損切り)が絶対に必要だとされています。
損失がそれ以上多くなる前に、小さな損失で終わりにしてしまうということです。
悩みについても同様に、いつまでも同じ悩みを引きずるのではなく、一定のところで切ってしまおうというものです。
「お気に入りの女の子をいつまでもお持ち帰りできない」
ということなら、「この子に使える(奢ってもいい)のは3万円まで。それで持ち帰れなければ、さっさと次の子に行く」くらいの気持ちで臨むと良いでしょう。
⑤過ぎたことを悔やまない
英語ではこんなことわざがあります。
It is no use crying over spilt milk.(こぼれたミルクを悔やんでも無駄だ)
いわゆる「覆水盆に返らず」ですね。
過ぎてしまったことを悔やむのは無駄な行為です。
「あの時、ああすれば良かった」は「次はこうしよう」という決意に変えて、前を向くようにしましょう。
PART4 平和と幸福をもたらす精神状態を養う方法
普段から悩みに押しつぶされないための習慣を伝えています。
- 今日だけは、、、という意識
- 仕返しは高く付く
- 恩知らずを気にしない
- 与えられたもの、手元にあるものに感謝する
- 自己を知り、自己に徹底する
①今日だけは、、、という意識
「今日だけは快活にしよう」
「今日だけは精一杯仕事に打ち込もう」
こうした「今日だけは、、、」という意識が重要だと説いています。
頭で考えて打ち込んでいると、心も後から付いてくるということってありませんか?
「気が乗らないな〜」という仕事でも手を動かしてみると、意外にもその中にやりがいを見つけて行動できたりします。
このような、「今日だけは、、、」という意識でポジティブに、そして快活に取り組むことが必要だとしています。
②仕返しは高く付く
仕返しは何も生まないばかりか、却って自らの損失を被る可能性があります。
これも実感している方は多いのではないでしょうか(笑)
批判されたりなどして自尊心が傷つけられたからといって、その相手を貶めるようなことをしても、自分にプラスになることはそれほどありません。
たぶん一瞬のスッキリ感くらいではないでしょうか。
そればかりか、周りから「小さい人間だ」と思われかねません。
何より嫌いな人について考えたりするのは時間の無駄です。得られるものがないことに無駄な時間を費やすより、有意義なことに時間を使いましょう。
③恩知らずを気にしない
人に良いことをしても、決してお礼を期待してはいけないとも書かれています。
イエス・キリストですら10人に施しをしても、感謝されたのはたった1人。
感謝されることを期待するのではなく、”与える”ことに喜びを見つけようとも伝えています。
④与えられたもの、手元にあるものに感謝をする
「10億円あげるから、あなたの両目を下さい」
と言われたどうしますか?
目が見えなくても幸せな人生を歩んでいる方はたくさんいます。
ないものを嘆くより、天より与えられたもの、手元にあるものに感謝をしましょう。
両目が見えるのであれば、それについて感謝するということです。
⑤自己を知り、自己に徹底する
人はそれぞれに特徴があります。
運動が得意な人がいれば、運動はできないが音楽が得意な人もいます。
運動ができないが音楽の才能がある人が、「なんでリオネル・メッシのようにサッカーができないんだろう・・・」と嘆くより、音楽の才能を活かしてそれを伸ばしていくことを推奨しています。
「④与えられたもの、手元にあるものに感謝をする」にも似ていますね。
マーケティングにおいてはこの辺の考え方が重要になってきます。
「自分の特徴を知り、それを伸ばしていく努力をすべし」ということなんですね。
PART5 悩みを完全に克服する方法
悩みを完全に克服する方法として「祈り」を挙げています。日本では無宗教という人が多いので、実感がしにくい部分ではあります。
筆者は「祈りは人間が生み出しうるもっとも強力なエネルギー」としています。
なぜ「祈り」が悩みの克服に役立つのか、次の3点を理由として強調しています。
- 悩みを言語化できる
- 誰かと悩みを共有・分担しているように感じさせる
- 自ら行動を起こす行為
PART6 批判を気にしない方法
他人から批判を受けて悩むこともあるでしょう。
そういった他人からの批判を気にしない方法が紹介されています。
大きくは次の3つです。
- 批判は称賛の裏返し
- 最善を尽くして、批判が過ぎ去るのを待つ
- 失敗を記録して、自身を批判する
1.批判は称賛の裏返し
批判は称賛の裏返しであることと認識しましょう。
筆者は「不当な非難は、しばしば擬装された賛辞であることを忘れない」としています。
人間は他人を妬むのがとっても大好き(笑)
- 仕事ができて、昇進昇給を重ねる同僚
- 容姿端麗で性格もとても良くて異性にめちゃくちゃモテる友だち
何かしら”あら”を探したくなってしまいますよね。
そうした形で他人からの批判はあなたへの称賛の裏返しでもあったりするのです。
筆者は「死んだ犬を蹴飛ばすものはいない」と言っていますが、何の取り柄もない人はわざわざ批判されることはないのです。
2.最善を尽くして、批判が過ぎ去るのを待つ
失敗や過ちを犯したら、ある程度の批判されるのは致し方がないものです。
そうした批判も最善を尽くしていれば、時が解決してくれると筆者は言ってます。
過去にスキャンダルでバッシングを受けた芸能人でも、今日、活躍されている方はたくさんいますよね。
3.失敗を記録して、自身を批判する
自らの失敗、過ちをノート・日記などに記録して、時々それを自ら批判することを推奨しています。
人は誰しも完璧ではありません。
偏見がなく建設的な批判は自身を成長させるのにとても有益なものです。
それを自ら進んで求めるようにしましょう。
PART7 疲労と悩みを予防し心身を充実させる方法
日々、活発に毎日を送るための秘訣を紹介しています。
適度に休息を取り、活動時間を1時間増やす
毎日の活動時間を増やすには適度に休憩を取ることが必要であるとしています。
肉体労働に「1時間のうち26分働き、34分休憩」というタイムスケジュールで稼働させると、1日ぶっ通しで働かせるより約4倍の生産性が出たという事例が紹介されています。
そもそも人間の集中力というのは30分程度しか続かないとされています。
いろんな研究でも明らかにされ、ビジネス系の記事でもこの辺のことは紹介されていますね。
8時間ぶっ通しで作業するより、30分作業5分休憩という形で進めたほうが効率が良いです。
「疲れる前に休む」ということを強調しています。
疲労と悩みを予防する4つの習慣
疲労を予防するための習慣として次の4つを挙げています。
- 当面の問題に関係のある書類意外は全部机上から片付ける
- 重要性に応じて物事を処理する
- 問題に直面したとき、決断できるなら即決する。決断を延期しない
- 組織化、代理化、管理化する→すべて自分で解決しようとしない
ビジネス系の書籍・ネット記事でも紹介されている仕事術と共通していますね。
それが10も、20もあるとなかなか実践しにくいですが、この4つであれば実践できると思うので、取り組んでみてはどうでしょうか。
興味、楽しみを持ち、倦怠感を追い払う
どれだけ仕事で疲れていても、楽しみな予定がある休日はいつもより早く、スッキリ起きれたりしませんか?
気の持ちようによる効果はとても大きいです。
仕事についても同様で、興味と楽しみを持ちながら取り組めれば、倦怠感がなく毎日が送れると説いています。
「そうはいっても仕事に興味、楽しみを持てない」
という方も多いと思います。
そうした際には毎朝鏡の前の自分に向かっって励ましの言葉をかけることを推奨しています。
こうした心理的な暗示にも十分に効果があるとしています。タダでできるし、試してみる価値はあるのではないでしょうか。
不眠症で悩まない秘訣
夜、眠れないことで悩まれる方は多いと思います。
眠れないこと悩むと、さらに眠れなくなり、次の日に疲労感が残ってしまうという負のスパイラルに陥ってしまいます。
不眠症で悩まないために、次の3つに取り組むことを推奨しています。
- 不眠症で死んだ人はいない
- 眠れないときは、本を読むか仕事をする
- 疲れるほど運動をする
運動するというのは現代人ではなかなか難しい部分はありますが、1,2については意識したり・取り組んだりすることはできますよね。
『道は開ける』は今こそ読んで欲しい名作
デール・カーネギー著書の『道は開ける』は悩みに押し潰されず、毎日を活発に送るための方法を教えてくれる名作です。
この記事ではその内容をかいつまんで紹介しましたが、本作にはもっと深い内容が詳しく書かれています。
新型コロナウイルス感染症の影響で仕事や生活に不安を覚えやす今だからこそ読んで欲しいと思います。